シリンダーヘッドコンディション(バルブガイド編)

こんばんは、ディンクスの中村です。

 

ブログ更新が延び延びになっておりまして、大変申し訳ありません  <(_ _)>

ここ最近、新しい顧客からの仕事依頼が増えており、ブログを書く時間が取れずに
困っていたんですが「これじゃ~ いかん!」と 只今奮起して書き始めました!

 

今回はシリンダーヘッドコンディションをテーマに書き綴ってみたいと思います。

 

 

 

画像はトヨタMR2やセリカに代表される3Sのシリンダーヘッドなんですが、実は
このヘッド、レーザークラッドシートリングで 削りしろが殆どない難しいもの・・・

そんなシビアなシートリングにも拘わらずシートリングカットするのは、これにより
シリンダーヘッドの状態が格段に良くなってエンジンの調子に直結するからなんです。

 

 

バルブシートカットは、普段 ”三面カッター” と呼んでいる専用刃で切削をします。

吸排気バルブの密閉性能が格段に良くなる事から、とても重要な工程なんですが
ヘッドの個体差によってはこのシートカットを施す前に行う もう一つ別の作業が
ありまして・・・

 

 

それが新品バルブガイドへの交換、通称「ガイド入れ替え」と呼ばれている作業です。

画像のヘッドはカワサキのオートバイZ系のもので、温度管理がコントロールできる
電気炉で加熱中・・・

 

 

熱膨張を利用して軽く抜けた古いバルブガイド・・・

バルブガイドそのものは主にFC材で出来ており、極端に消耗が進行する訳では
ないのですが、旧車系のヘッドだと もう大半は交換が必要な状態になっています。

カムの回転方向でガイド穴内径が楕円に広がってバルブステムが開閉時に振れたり
ヘッドの圧入穴からオイルが燃焼室に侵入する、いわゆる「オイル下がり」と言う
現象が起こり、それが原因で未完全燃焼を起こす事から高濃度な排気ガスが大量に
排出され続けてたりします。

 

 

バルブガイドを抜いた直後のヘッド側 下穴の画像ですね・・・

アルミの鋳造部品は経年変化により寸法や形状が僅かに変化するもので、よく自分は
「育つ」なんて言ってるんですが、このバルブガイド下穴も例外なく 穴寸法に変化が
出ている事でしょう。

 

 

複数あるバルブガイド下穴寸法はそれぞれ異なる為、小径シリンダーゲージを用いて
一つひとつ 精密に測定を行って行きます。

 

 

ピントを合わすのが中々難しく ちょっとボヤけていますが、穴の上と下とでも
数値が異なり 各所100分台の数値で測定してあげるんですが、中には劣悪な
状態のものも・・・

例えば過去にバルブガイド交換をされたが その時の加工精度があまり良くなく
縦傷が入ってしまった下穴、また 外径サイズが適合していない寸法のガイドを
無理やり圧入してしまった事から かじりを起こしてしまった下穴などです。

 

 

そういうケースにおいては、先ずは下穴をきれいに仕上げる加工から始まります。

100分台の切削で済む時もありますが、傷やかじり具合が酷い場合 それ以上の
直径になる事も・・・

 

 

そのため、ディンクスでは外径が100分台の違いで異なる数種類のオリジナル
新品ガイドを用意しており、更に半加工品状態のブランク外径のバルブガイドも
控えで在庫しております。

ディンクスでは、一般市販されている既製のバルブガイドは使用しません。

各部の寸法精度やステムシール部の形状精度に拘っている事もありますが、基本
バルブガイドは外径が異なる複数種をいくつも用意しておき、下穴寸法に適した
個体を選別して圧入するべきなんです。

 

 

事前に少しだけ加熱させておいたシリンダーヘッドに、無理な力を掛けずに入って
行けば 下穴とバルブガイド外径のマッチングは良好。

もちろん、まっすぐに入ってくれます。

 

 

水冷4バルブ、カワサキのオートバイGPz900Rも すっかり旧車の分類・・・

 

 

先ほどのGPz900Rヘッドから抜いたバルブガイドが、こちら・・・

 

 

ガイドのステム穴径が広がっているのはもちろんなんですが、むしろ問題なのは
オイル下がりの兆候が見られた事・・・

ガイド先端の黒い部分はカーボンですが、圧入されてた部分(薄茶色の部分)は
斑に変色しており、オイルが侵入し始めていた可能性がある その痕跡なんです。

 

 

ディンクスでは、ここ数年 GPz900Rのバルブガイド交換依頼が増えた事から
すぐに対応できる様、こちらも常時 沢山の在庫を持つようにしました。

もちろん、形状や寸法精度に拘った ディンクス製オリジナルバルブガイドです。

 

 

入れ替え完了!

バルブガイド入れ替えは基本、必ずシートリングカット前に行うべき工程です。

そのシートカットについては また次回ご紹介しますね。

 

ブログ、長すぎなんで・・・  (;^ ^Aフ~

 

 

(次回 シートカット編に続く)