カワサキのオートバイ 水冷シリンダーOリング交換
こんばんは、ディンクスの中村です。
やっと・・・
やっと「新年あけましておめでとうございます」から脱却しました (;^ ^A
自分は普段、ディンクスの社屋がある所から歩いて30秒ほどの所にある
(株)ノーブレストと言う会社で勤務をしているんですが、そっちの方も
えらく忙しくて、とにかくブログ更新するのにも一苦労。
年始の挨拶から数えて約4ヵ月・・・
やっと、更新できました~~~ ( ̄▽ ̄;)
と言う訳で、今回はオートバイエンジンのネタになりますが
いつもより画像多めにてご紹介します。
カワサキ製のオートバイにGPz900Rと言う機種があります。
いわゆるNinjaと呼ばれてる機種で1980年代から2000年まで
ロングランで生産された人気の機種なんですが、旧い個体だと40年近く
経過しており、最近では内燃機加工メニューにも変化が起きているんです。
今日、オーバーホールするのが普通に当たり前となったGPz900Rですが
オーバーサイズピストンでボーリング&ホーニングするのも必須となっており
10年位前までは、特に何も確認せずボーリング工程から入っていたのですが
最近では必ず水圧検査から入る事をお勧めしています。
圧検専用の特殊ツールをシリンダーブロックに取り付けしてスタート。
希釈したクーラントをハンドポンプを使ってシリンダーに送って行きます。
ブロック上面にはパッキン入りのツールプレートが取り付けされてるので
水はシリンダーの下、ライナーの圧入境目からジワ~っと漏れて来ます。
水漏れしてる接写画像を撮り損ねてたので、別の機会でお見せしますが
かなりの頻度でリークして来るシリンダーを見かける様になりました。
その様な訳で、Oリングを全て新品にしてからボーリング&ホーニングを
行う事に。
温風循環加熱機にシリンダーブロックを入れ120度で適正時間内で加熱。
アルミは鉄よりも熱膨張が大きい性質な為、加熱する事で鉄のライナーが
無理なく抜けるようにする訳です。
取り出したシリンダーブロックを油圧プレスの治具プレートに乗せます。
この後プレスでライナーを抜く訳ですからライナーが治具プレートの間を
通過する絶妙な位置に合わせておきます。
シリンダーの温度が下がってしまう前に押さないと、ブロック側に不要な
力が掛かってしまいますから、スピード感も大事な場面・・・
プレスで押すと、極わずかな圧力で素直に抜け始めました。
今回はわかりやすく見て頂く為、一端ここで手を止めます。
シリンダーブロックを上面から見たところ。
ライナーの鍔のすぐ下にOリングが入っているの、わかりますか?
ウェットライナーと言って、冷却水が直接ライナーの回りを循環しており
上と下 それぞれにOリングが入ってシールしているんです。
このシリンダーは1990年代に生産された車両から外したものなんですが
旧すぎるが故に、すっかり硬く潰れてしまっていました。
弾力も形状も、もはやOリングとしてのシール性能が機能しておりません。
こちらはカワサキ製 GPz1000RXと言う、同じく1980年代に
生産されたオートバイのシリンダーで、先程のGPz900Rと同様
水漏れが確認されたもの。
GPz900RのシリンダーOリングと共通のOリングを使用しており
交換してからボーリング&ホーニングを施工しました。
シリンダーホーニングは100分の1レベルの精密クリアランス値で
仕上げていますが、スリーブを抜き差しすると その数値に僅かな変化が
出てしまうもの・・・
だから水漏れを直してからホーニングしてあげないと、せっかく仕上げた
精密ホーニングが無駄になってしまう。
すなわち ピストンを交換するのであれば、先ず圧検をしてからでないと
精密に仕上がったホーニングが無駄になってしまう可能性があるんです。
ちなみに ライナー上のOリングはメーカー欠品になっており、現在は
入手不可能な事から、ディンクスでは専用Oリングを生産しました。
材質は信頼性の高いフッソ系バイトンを用い、既にテストも完了済み。
このOリング交換については、日に日に問い合わせが増えて来てます。
カワサキGPz900R、そしてGPz1000RXのオーナー様は
エンジンをオーバーホールする際、ライナーOリングを交換してからの
ピストン変更 ボーリング&ホーニングをお勧めします。
= お知らせ =
(株)ディンクスのGW休みは暦通り、3日~6日までお休みとなります。
ご不便をお掛けしますが、よろしくお願い致します。